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寄稿:国会議員とTwitter活用の現在

日曜日, 2021年5月23日日曜日

※本ブログは株式会社JX通信社のご協力により寄稿していただきました

 

2013年4月に公職選挙法が改正され、日本でインターネット選挙運動が認められてすでに8年が経ちました。政党の要職経験者や現職閣僚といった国会議員がTwitter上で有権者と積極的にコミュニケーションをとる様子も、今となってはおなじみの光景となりました。

昨年来続く新型コロナウイルスの拡大もあり、今年4月に行われた国政選挙でも、有権者に政策を訴える手段の一つとして多くの候補者がTwitterを活用しています。

実際のところ、どれだけの国会議員(あるいは事務所)がTwitterを活用しているのでしょうか。今回は、通年であれば地元に戻り有権者との対話を行う期間であるゴールデンウィーク(4月29日〜5月5日)中、地元での活動の代替手段として国会議員のTwitterでの情報発信や対話が増えるであろうと仮設をたて、ツイートを集計、解析を試みました。

一部の地域には緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出自粛が求められたなかで、国会議員のアカウントがどれだけTwitter上で有権者とコミュニケーションを取っているのか調べました。

 

国会議員のTwitterアカウント保有率

JX通信社の調査によると、Twitterアカウントを持つ国会議員は衆参合わせて522名でした。衆議院議員は464名、参議院議員は245名なので、全体の7割強がTwitterアカウントを持っていることになります。

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衆参両院別に見ると、衆議院議員は約7割、参議院議員は約8割がTwitterアカウントを保有していました。特にNHK党(当時)、共産党、れいわ新選組は衆参両院の全議員が、日本維新の会は参議院の全議員がTwitterアカウントを保有していることが確認できました。

 

ゴールデンウィークのツイート数が多い国会議員は?

では、国会議員はどれほどTwitterを有効活用できているのでしょうか。なかには「アカウントを持っているだけ」の状態になっている議員もいるもしれません。

まず、Twitterを通じた「発信」の積極性を表す指標として、返信やリツイートではない「オリジナルのツイート」の件数の多さを見てみましょう。オリジナルツイートが多かった上位15アカウントを抽出したのが以下の表です。

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閣僚経験者や政党の要職に就いている人もおり、ゴールデンウィーク中でも、有権者に向けて積極的に自らの考えや自党の考え方を伝えているようです。

続いて、リツイートの多さも確認してみます。

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オリジナルツイートでランキング上位にいた議員も数名ランクインしている一方、新たにランクインした議員も多く、Twitterの利用方法が議員によって大きく違っていることが伺えます。リツイートが多い議員の投稿内容を調べてみると、同僚議員や政党の公式アカウントによるツイートを拡散することで、自党の考え方を発信していると分かりました。

ゴールデンウィーク中に1度でもツイート(返信、リツイート含む)した議員数を集計したところ、327アカウント確認できました。Twitterアカウントを持つ議員の約6割でした。政党別にゴールデンウィーク中の「アクティブ率」をまとめたのが、以下のグラフです。

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国民民主党、公明党、共産党に所属する議員の8割弱がTwitterを活用していたと分かりました。また、半数以上のアカウントがアクティブでした。対面で人と会えない期間における有権者との対話にTwitterは役立つようです。

 

対話を行う傾向にあった国会議員は?

「コミュニケーション」について、もう少し深掘りしてみましょう。自分の意見の発信だけでなく、対話など双方向のコミュニケーションについて確認してみたいと思います。

そこで、Twitterの会話を促す機能である返信と引用ツイートの件数についても調べてみました。オリジナルツイートやリツイートと同じように、返信、引用ツイートが多い順に並べたのが以下の表です。

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オリジナルツイートやリツイートとは違う傾向が表れました。

それぞれのアカウントを確認してみると、フォローしている方のツイートに積極的に返信を送る議員もいれば、自らに届いた返信に対して返信や引用ツイートの形で返信をしている議員もおり、交流の仕方は人それぞれでした。他にも、過去のツイートに返信を送りスレッド化することで自らの考えをまとめることで、新しく返信を見た人にも分かりやすく文脈を提示する議員もいました。

 

ツイート数とフォロワーの数は関係があるか?

前段はツイートや返信と引用ツイートの数を見てきました。では、これらの数はフォロワー数と何らかの関係があるのでしょうか。

オリジナルツイート数を横軸、フォロワー数を縦軸にとったのが以下の散布図です。全体の傾向から外れている点については、議員の名前(敬称略)を振っています。

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特に相関は無いようですが、外れ値となっているアカウントを3つの観点で分類できそうだと分かりました。

  1. オリジナルツイートが多く、フォロワーも多い
  2. オリジナルツイートは少ないが、フォロワーは多い
  3. オリジナルツイートは多いが、フォロワーは少ない

このうち1と2については政党幹部や閣僚といった要職を経験している議員が多いことから、フォロワーの多さはツイートの多さだけでなく、TVなどのマスコミでの露出が知名度として影響しているのだと考えられます。

 

まとめ

国会議員のアカウントがどれだけTwitter上でで有権者とコミュニケーションを取っているのか調べた結果、全体7割の国会議員がTwitterアカウントを保有し、そのうち6割の国会議員がゴールデンウィーク期間中もアクティブだったことが分かりました。対面でのコミュニケーションが難しい時期だからこそ、Twitterなどから国会議員の活動や発言を確認することも私たち一般市民にとって重要です。

8年前にこうしてTwitterを活用している国会議員がこれほど多くいると、はたして想定できていたでしょうか。思っている以上に、Twitterは日常に浸透していると推察します。これから先、国会議員による、Twitterをはじめとするソーシャルメディアの活用はさらに活発になっていくことが予想されます。有権者もこの機会を有効活用し、国会議員の活動や発言を見守り、対話に参加していきましょう。

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