マーケティング

#インフルエンサーQA : 広告主の皆さんへ直接取材

金曜日, 2017年3月17日金曜日

より多くの方に、Twitterがどのように企業のマーケティングに活用されているかを知ってもらえるよう、企業のみなさんの声を伺うシリーズ#インフルエンサーQAを連載しています。Twitter活用の効果のほか、担当者ならではの悩みや面白さを中心にお話を伺いたいと思います。9回目となる今回は、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 コンシューマー カンパニーさんにお話を伺いました。


※今回のブログは2月22日開催された#TwitterBrandSummitにおけるマーケティング本部長 リュウ・シーチャウさんの講演内容と一部コメントを組み合わせた構成としています。

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リュウさん:新卒で入った消費財メーカーで言われたことは「Consumer is boss(消費者が上司)」。マーケターとして、上司や社長に気に入られるのではなく、最終的に消費者に商品を買ってもらわないといけないことを強く意識した経験があります。本気で消費者を理解し、彼らが欲しいと思うもの、伝えて欲しいという伝え方を考え、見極めることが大事ですね。

今は消費者の皆さんが100%テレビのみを見ている時代ではない。一方でデジタルに接触している時間が長くなっている。そのような環境の中では、消費者にとって正しいことをしなければならないと常に考えています。消費者のメディア接触のありかた、もっというとコンテンツの内容などは消費者インサイトと照らしあわせてみていかなければならない。消費者インサイトを理解するには、思っているレベル以上に何レイヤーも深堀りしないと辿りつけないと思います。

例えば、「お茶を飲みたい」という場合は単にのどが渇いている場合が想像されますが、なぜお茶なのか、他の飲料ではないのか、それはもしかしてダイエットしたいと思っているかもしれない、もっというとダイエットではなくお昼にかつ丼を食べたのでその罪悪感で飲んでいる、ということもあるかもしれないですよね。「健康に気を使っている」というだけでも、インサイトをどれだけ深く掘り下げられるかどうかが鍵だと思います。

また、デジタル上で何かをシェアする行為ひとつをとってみても、その背景には友人みんなにどう思われたいか、何か意図があるのかということがあると思います。いつも面白いことを言っているんだけど、たまにはかっこいいことを言ってみたいという人もいるだろう、と。日々そういった心理を分析したり、観察することは、マーケティング戦略を考える上でとても重要です。そして、このような消費者の心理は、マーケターが、「デジタルをやらなければならない(have to)」と思っているとなかなか読み取ることができません。

だから、チーム全員が「デジタルをやりたい(want to)」になるよう本気でフォーカスしています。このようなデジタルシフトで一番面白いことは、誰もやったことないことを自分で作り出すことですね。そこで、以下より具体的な事例を紹介し、「デジタルをやりたい(want to)」と考えていただく機会にしたいです。

事例①:リステリン®

薬用マウスウォッシュのリステリンでは「歯磨きでケアできるのは、お口の表面積の25%」ということを訴求しています。リステリンは世界最初の薬用マウスウオッシュで、もともとは医療・外科手術の消毒薬として使われていました。現在では、世界No.1のシェアを誇ります。

ただしこれまでのテレビCMでは、歯肉炎に効く、バイオフィルム(お口の中の細菌の塊)に浸透殺菌する、などの一般の消費者の皆さんからすると少々マニアックなことを訴求する傾向にありました。そこでコミュニケーションメッセージ自体を、2016年から「大胆に生きよう!」という、製品を使用したことで得られる情緒的なエンドベネフィットに寄せたメッセージに変更しました。そして今年のバレンタインのタイミングにあわせて展開したウェブ動画では「口臭で、すべて台無しだよね」というメッセージで、特に30代、40代のモテることを意識した男性をターゲットにしました。

Twitterのカンバセーショナルカードを使って、男性目線、女性目線の動画を2つ制作。女性をくどく男性が突然振られる話で、振られた時に「#なんで」をツイートすると女性目線の動画を比較して見られるように設計しました。それにより、男女間の意識の違いを表出できるので面白いと考えたからです。(動画視聴後)どうですか?女性が恥ずかしがっているサインは、もしかして口臭かもしれませんので注意してください(笑)。

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実はこの動画のオリジナルは5分もあります。最初、5分の動画を作ったら、長すぎて見てもらえないんじゃないかという懸念はありました。しかしながら最終的には、Twitterの中でも平均的なプロモビデオ(動画尺 2分以上)の完全視聴単価平均値に比べ、6.2倍の完全視聴率というとてもよい結果となりました。つまり、完全視聴とは利用者の意思で最後まで見てもらえるということなので、コンテンツが良ければきちんと見てもらえると確信したのです。

また、Twitter上の会話の数も通常のカンバセーショナルカードの会話率平均値に比べ2倍に。実際の反応も、「おもしろかった」「動画を最後までみた」といったポジティブな声が多かったです。最後に、売上が気になるポイントだと思いますが、キャンペーンを始めてからとあるECサイトでのPOSデータを照会すると売上が二桁近く上昇しました。前年同時期に比較してテレビCMのボリュームなどを減らしている中で成長ですので、本キャンペーンが効いていると分析しています。

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事例②:ジョンソン® ベビーオイル

昨年からスタートした社内の取り組みに「Crazy ROI」というのものがあります。これは、より革新的なアイデアに基づく取り組みを推進するためのものです。背景には、革新的なことをやろうとしても社内で、「ROIなどの細かい数字を事前にチェックされるので、実現するまでのハードルが高く感じる」という声が多く挙げられていたことがありました。私自身もそれを反省し、思いっきりイノベーティブなことに挑戦できるような環境づくりに取り組みました。具体的には、何にお金を使ってもいい、どのブランドに使ってもいい、ROIやKPIを試算しなくていい、ただ、”クレイジー”と思えるぐらいに良い結果を出す可能性を秘めている施策であるように、という指針を掲げたのです。

この取り組みにより、ジョンソン ベビーオイルで実施した「これ一本で全身ぷるふわ。愛され、赤ちゃん肌になろう」というキャンペーンアイデアが生まれました。ちょうどベビーオイルが大人の女性にむけた美容にも使えるということが、ネット上で少しバズり始めていた頃で、例えば洗顔フォームにベビーオイルを1滴垂らすだけで洗顔後に顔がつっぱらないということがクチコミで広がっていました。これをベビーオイルの新しい良さとしてとらえ、ソーシャルメディア上に拡散していこうと考えました。洗顔以外にも、かかとのケアやボディークリーム、ヘアワックスにも使ったり、14通りの使い方を提示したのです。

さらにターゲットは若い女性に設定していたため、フォトジェニックなことは重要な要素となります。そこで、ハローキティとのコラボレーションを実現し限定のデザインパッケージを展開しました。また、このデザインパッケージのベビーオイルを2本揃えるとハートの形になるようなかわいい仕掛けも施しました。面白い美容情報は発信されやすい傾向にあったり、店頭もフォトジェニックに演出できたりと、ソーシャル上でバズがバズを呼ぶとてもよい一連の流れをつくることができ、結果的にベビーオイルは、昨対比で売上が大幅に増加、世界で見てもベビーオイルは、日本が最も高い成長率の実績を残しました。このデジタルキャンペーンによって、汎用性の高い無香性タイプはもちろんのこと、微香誌タイプのパッケージに使われているピンクの可愛いさがヒットしたことも、売上が伸びた要因なのではないでしょうか。

上記の14通りの使い方を、動画クリエイターを通じてTwitter上でバズらせることも実施。動画クリエイターのイベントU-FES.で、ファンに受ける動画づくりを知っているクリエイター自身に、作ってもらったCM動画をライブ配信およびAmplify配信しました。コンテンツと同じ文脈で作られる動画広告のため、広告を見た人から「CMがおもしろい」「地上波でも流れないのかな」といった期待していた以上の反応も獲得しました。その結果、完全視聴単価が通常のキャンペーン平均に比べて4分の1となりました。

最後にメッセージをひとこと。デジタルは”本気でやりたい”と思わないと難しい。やりたいことしかやらない、という意識改革も必要です。それを考えてから動くべき。そうする覚悟とパッションがあると最終的に面白くなるのです。また、失敗を恐れて何もやらないよりはやったほうがいい。こうすると決めたら楽しんで取り組んだほうがいい。デジタルでのリスクはそれほど大きくないため果敢に挑戦できるし、仮に失敗しても、その経験を糧として、次に繋げられるのです。

Twitterは、単に広告メニューの紹介ではなく、妥協したくないという私たちのニーズに応えるソリューションを提供してくれる、よいパートナーだと考えています。今後も、ビジネスで達成したいレベルに合わせて、様々なパートナーを巻き込みながら協働していきたいと思います。

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